レコードの魅力といえば音質の良さにあります。CDは人間には聞こえない周波数の音域はカットされているのに対して、アナログレコードはその範囲の音も収録されているため、デジタルの音よりも表現豊かで実際の演奏に近いといわれています。
この記事では、初心者の方に向けてレコードの基本的な知識の解説と、価格帯が1万円~5万円台の中でおすすめのレコードプレーヤーについて解説していきます。
この記事を読めばわかること
・レコードプレーヤーとは?
・レコードプレーヤーの選び方
・初心者の方にお勧めのレコードプレーヤー
・揃えておくべきアクセサリー
レコードプレーヤーとは?
レコードプレーヤーとは、アナログレコードを再生するための機器のこと、レコードの円盤の溝には音情報が記録されており、この溝の上に針を沿わせて音楽を再生します。
レコードプレイヤーは、ターンテーブル・カートリッジ・トーンアームといった複数のパーツから構成されています、パーツによって音質が変わるのも魅力のひとつ、上級者なら自分なりにパーツを組み合わせ、好みの音を追求できます。
レコードプレイヤーの選び方 回転方式の違い 各パーツの役割
ベルトドライブ方式
- モーターとターンテーブルがベルトで繋がれている、回転ムラが起こりにくい
- 周りの振動や音がターンテーブルに伝わりにくいため、音質が安定している。
- 比較的リーズナブルな製品も多い
- ベルトが経年劣化するため、定期的な交換が必要になる
ベルトドライブ方式は、初心者の方にもおすすめです。
ベルトドライブ方式とは、多くのレコードプレーヤーで採用されている方式で、モーター軸の回転をゴムベルトを使ってターンテーブルに伝える方式のこと。周囲の振動の影響を受けにくく、回転が安定しているのがメリットです。
採用されている機器の種類の幅も広く、比較的お手頃(1万円~)な製品も多め。
ただし、ゴムベルトは経年劣化するため定期的な交換は必須。ですがゴムベルト自体は比較的リーズナブルに購入でき、交換も簡単なのでそこまで気にする必要はありません。
ダイレクトドライブ方式
- モーターが直接ターンテーブルを回転させる方式
- 回転の力が強く、一定の速度を保ちやすい
- DJプレーをしたい人は、ダイレクトドライブ方式
- 消耗品がない
- 低速で再生すると「コギング」が目立つことがある
ダイレクトドライブ方式は、モーターとターンテーブルが直接結合している方式です。
レコードの回転開始・停止がスムーズなのが特徴で、回転数の微調整によるピッチコントロールやスクラッチプレイが可能なモデルもあります。
スクラッチ用で購入を検討されている方は、対応可能かあわせてチェックしておきましょう。
ただし、ダイレクトドライブ方式は、低速で回転させると、音がカクツキを起こす「コギング現象」が出てしまうのが欠点。上位のモデルになれば軽減されるものの、低価格のものはややコギングが目立つことがあります、口コミも参考にコギングの度合いを確認しておくといいでしょう。
カートリッジの役割と種類
カートリッジとは、レコード針が拾った溝の振動を電気信号に変換する重要なパーツです。音質や性能に大きく影響を与えるため、初心者が購入を検討する際には基本を押さえておくことがとても大切です。
発電方式の違いによって以下の二種類があります。
1.初心者向け MM型(ムービング マグネット型)
- 仕組み 磁石が動いて信号を発生させる仕組み
- 特徴 メリット
- 手頃な価格で初心者におすすめ
- 針交換が自分でできるのでランニングコストが低い
- デメリット: 高音域の繊細さがMC型に比べるとやや劣る
- 対象 初心者や手軽にレコードを楽しみたい方
MM型は初心者の方におすすめのカートリッジで、エントリーモデルのレコードプレーヤーにも多く使われています、カートリッジの価格が手ごろで針が折れても自分で交換ができるのでコストを抑えられるメリットがあります。
2. MC型(ムービング コイル型)
- 仕組み コイルが動いて信号を発生させる仕組み
- 特徴 メリット
- 音の繊細さや臨場感が非常に高い
- ハイエンド志向の音楽愛好家に人気
- デメリット
- 高価で、自分で針の交換ができない(基本的にカートリッジごと交換)
- 専用のMC対応アンプやフォノイコライザーが別途必要
- 対象 中級者~上級者向け(音質を追求したい方)
音質にこだわりたいならMC型がおすすめ。中上級者向けのプレーヤーに使われていることが多く繊細な音を楽しめます。
ただし、MC型は出力が低いので対応したアンプなどを別にそろえる必要があり、針が折れた場合に自分で交換できないなど、コストが上がりやすいことに留意しましょう。
トーンアーム
トーンアームは、カートリッジをレコードの溝に正確に導き、音を再生するための重要なパーツです。形状によって特徴が異なり主にJ字型・ストレート型・S字型の3種類に分けられます。
先端部分にも違いがあり、カートリッジの取り外しが可能な「ユニバーサルアーム」と、カートリッジとアームが一体になっている「インテグレーテッドアーム」の2種類があり、ユニバーサルタイプは、カートリッジの違いによる音の違いを楽しみたい方におすすめです。
一方で「インテグレーテッドタイプ」は比較的お手頃価格で購入できるのが魅力。カスタマイズの自由度は少ないものの、リーズナブル。主にエントリーモデルのレコードプレーヤーで採用されています。
1-2初めての方にはフォノイコライザー搭載モデルがおすすめ
レコードの音信号は非常に小さくそのままでは聞くことができないので、変換するための装置「フォノイコライザー」が必要になります。
レコード初心者の方には、フォノイコライザー搭載モデルがおすすめ、コンポやアクティブスピーカーなどに接続するだけで簡単にレコードを楽しむことができます。
一方で、フォノイコライザー非搭載のモデルは一般的に中上級者向けとされていて、音質にこだわっていきたい方向け。こちらは、別途「フォノイコライザー」が必要になります。
1-3手軽に楽しみたいならスピーカー搭載モデルもアリ
さらに手軽にコストを抑えてレコードを楽しみたい方はスピーカー内蔵モデルもおすすめ。アンプやフォノイコライザーも内蔵されており、機器同士の接続の手間がなく、1万円台から購入できるので経済的です。
プレーヤーを置くスペースがあればいいので場所も取らずにコンパクトに収まります。
1-4ワイヤレスで聞けるBluetooth機能付きも
Bluetooth機能を搭載したモデルもあります、普段からワイヤレスのヘッドホンやイヤホンを使われている方は特に便利、レコードプレーヤー用のスピーカーがない場合や大きな音で聞けない環境でもレコードの音をワイヤレスで楽しむことができます。
ただしBluetoothの性質上、レコードの音信号を電波に変換するので多少の音質劣化が起こることもあります。
スピーカー、有線ヘッドホン、ワイヤレスイヤホンなどシチュエーションに合わせて選べる環境を構築すればより快適な音楽体験が得られるでしょう。
1-5音源を取り込みたい人には、USB対応モデル
レコードの音をデジタルデータ化して取り込みたい場合は、USB対応モデルがおすすめ。
プレーヤーにパソコンやUSBメモリーを接続すれば音源の取り込みが可能になり、お気に入りのレコードの曲をスマホに入れて持ち運ぶことができ、場所を選らばず楽しむことができます。
ただしレコード音源をデータ化するためには、パソコン側に専用ソフトをインストールする必要があります。
製品よって専用ソフトが付属するか、対応フォーマットや音質にも違いがあるので注意してチェックしておきましょう。
2.初心者におすすめレコードプレイヤー
Audio-Technica(オーディオテクニカ) AT-LP60X
回転方式 | ベルトドライブ方式 | USB対応 | 無 |
フォノイコライザー | 有(切り替え可能) | 回転数 | 33-1/3または45回転/分 |
Bluetooth機能 | 無 |
スタートボタンを押すだけでレコードの再生・停止を行う、33/45回転に対応可能なフルオート式のターンテーブルで簡単にレコードを再生できます。プラッターの素材にアルミニウム合金ダイキャストを採用し、クリアな音を再生。
専用のトーンアームベース/ヘッドシェルにより、トラッキング性能の向上と不要振動を抑制でき、さらにフォノイコライザーを内蔵し、PHONO/LINE出力を選択可能でアクティブスピーカーと接続するだけなのでコスト面も最高です。
audio-technica ワイヤレスダイレクトドライブターンテーブル AT-LP120XBT-USB
回転方式 | ダイレクトドライブ方式 | USB対応 | 有 |
フォノイコライザー | 有(切り替え可能) | 回転数 | 33/45/75回転/分 |
Bluetooth機能 | 有 |
Bluetooth接続、USB出力、アナログ出力に対応し進化した音楽体験を実現しました。
ワイヤレスでレコードを楽しめるだけでなく、USB出力でレコード音源をデジタル音源に変換しスマートフォンで持ち運ぶことも可能になります。
ダイレクトドライブ方式なので、回転ムラが少なく動作が安定しているのも特徴。
また、フォノイコライザーを搭載しているのでアクティブスピーカーを接続すればすぐに再生可能です。
audio-technica AT-SB727 「サウンドバーガー」
回転方式 | ベルトドライブ方式 | USB対応 | 充電のみ |
フォノイコライザー | 無(ライン出力) | 回転数 | 33/45/75回転/分 |
Bluetooth機能 | 有 | 備考 | USB充電式(最大12時間再生) |
audio-technica60周年記念で復刻モデルが発売され、瞬く間にソールドアウトした名機「サウンドバーガー」の一般モデル。持ち運び可能なほどコンパクトで、レトロな外観がとても印象的。呼び名の通りレコードをサンドする形で再生します。
Bluetooth接続でワイヤスピーカーやワイヤレスイヤホンで音楽を楽しめます。また、ライン出力でピンジャック付きのアンプやアクティブスピーカーでも再生可能。
※本製品からは、直接音が出ません。
SONY (ソニー) ステレオレコードプレーヤー PS-LX310BT
回転方式 | ベルトドライブ方式 | USB対応 | 有 |
フォノイコライザー | 有 | 回転数 | 33/45回転/分 |
Bluetooth機能 | 有 | 備考 | ゲインセレクト機能搭載 |
Bluetooth機能を搭載し、スタートボタンを押すだけで、ペアリング済みのBluetoothオーディオ機器と接続、再生停止を自動で行います。
PCとUSBケーブルで接続し、レコードの再生音を録音することも可能です。
ION Audio(アイオンオーディオ) MAX LP スピーカー搭載オールインワンUSBレコーダー
回転方式 | ベルトドライブ方式 | USB対応 | 有 |
フォノイコライザー | 内蔵型 | 回転数 | 33-1/3、45、75回転/分 |
Bluetooth機能 | 無 | 備考 | スピーカー付き |
スピーカー内蔵型なので本製品1つでレコードが再生可能。お手軽にレコードのある生活を実現できます。
木目調のデザインでインテリアの邪魔になりません。カラーは木目、黒、マホガニーの三色展開。
さらに、背面にUSB端子を搭載。付属のUSBケーブルで接続し、音源をデジタル録音することが可能。スマートフォンへの録音は、iOSデバイスのみ対応のようなので、デジタル化を考えている方は、注意。
お値段も1万円前半と手が出しやすく、扱いやすさに加えコスト面でも初心者の方におすすめの一台です。
ION Audio Vinyl Transport
回転方式 | 不明 | USB対応 | 無 |
フォノイコライザー | 内蔵型 | 回転数 | 33-1/3、45、75回転/分 |
Bluetooth機能 | 無 | 備考 | RCA出力端子、ACアダプターまたは電池式(単3電池) |
トランク型レコードプレイヤー。レトロ感満載の水色、艶やかな色彩が印象的な赤、どんな場所にも相性が良い黒の3色がラインナップされています。
電源は付属のACアダプターまたは、単3電池で再生可能なので電源がない場所にも持ち運び可能。
スピーカーも搭載されているので様々なシュチュエーションで温もりのあるアナログサウンドを楽しめます。
山善 キュリオム マルチレコードプレイヤーMRP-100CR
回転方式 | 不明 | USB対応 | 有 |
フォノイコライザー | 内蔵型 | 回転数 | 33-1/3、45、78回転/分 |
Bluetooth機能 | 無 | 備考 | CD、カセットテープ再生可 |
CD、カセットテープとFM/AMラジオ機能を搭載し、USBメモリまたはSDカードは音源の再生、録音も可能になっているマルチなレコードプレーヤー。
本製品一台あればご自宅に眠っていたレコード以外の懐かしい思い出のコレクションも蘇ります。
4.1 初心者が揃えるべき基本アクセサリー
レコード盤収集の為に中古ショップなどを巡っていると、保護袋がついていないものや汚れたレコードに出会うことがよくあります。レコード盤はキズや汚れにとても弱く音飛びの原因になってしまいます。お気に入りのレコードを長く楽しむためにも正しい保管と適度なクリーニングを行いましょう。
機材と一緒に購入しておくと安心なアクセサリーを紹介します。
レコードクリーナー
レコードを趣味として楽しむなら、レコードクリーナーはぜひ揃えておきたいアイテムです。レコードは繊細な溝に音が記録されていますが、この溝にホコリや汚れが溜まると、再生中に「パチパチ」としたノイズが発生したり、針を傷めたりしてしまいます。そのため、定期的なクリーニングが必要です。
レコードクリーナーには、「乾式タイプ」と「湿式タイプ」の2種類があり、それぞれ特徴や使い方が異なります。
乾式タイプ
- 特徴: 専用のクリーニングブラシや布を使って、レコード表面のホコリや軽い汚れを取り除きます。
- メリット: 手軽で簡単に使える。再生前後の軽いメンテナンスに最適。
- 使い方: レコードを回転させながら、ブラシを軽く当てるだけでOK。
- 注意点: 表面のホコリには効果的ですが、油汚れや深い汚れには対応できません。
湿式タイプ
- 特徴: 専用のクリーニング液や洗浄機を使って、深い溝に入り込んだ汚れや油分を除去します。
- メリット: 頑固な汚れにも効果的で、音質の向上が期待できる。
- 使い方: クリーニング液を少量つけて、柔らかいクロスや専用ブラシで溝に沿って丁寧に拭き取ります。また、洗浄機を使うとさらに効率的。
- 注意点: 過度に液体を使うと盤面を傷める可能性があるため、適量を守ることが大切です。
日常の手入れには乾式タイプを、しっかりと汚れを落としたいときには湿式タイプを使う、レコードを美しい音で長く楽しむためには、これらをうまく使い分けることが大切です。また、「乾式」「湿式」両方の機能を備えたクリーナーもあり初心者の方におすすめです。
レコード保護袋
レコードを長く楽しむためには、音質や寿命を守るために保護する袋が必要になってきます。
盤自体を保護する内袋とジャケットを保護するタイプのもの、LP盤EP盤でサイズが変わったりと種類があるので用途に合わせて購入しておくとよいでしょう。
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